試しにアニソンを聞いてみる。

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実際のところアニソン歌手の実力ってどうなの?/音楽レビュー……?

 昔は2ちゃんのスレとか、アイマスの歌唱力AだかSだかみたいな、歌手の歌唱力を競うという企画が流行っていたものです。(もしかしたら筆者が認識していないだけで今でもそういうものは世の中に萬栄しているのかもしれませんが……)個人的には歌唱力という言葉ほど手垢にまみれ誤解をはらんだ言葉はないと思っているので、出来るだけこの言葉を使わないようにしていたのですが、今回この言葉を使わせてもらったのは、うちのブログでもそうした手垢にまみれた御幣まみれの企画をやってみようかな、と思ったからです。

 

 以前別の記事で言及させていただきましたが、結論から言うと「歌唱力」というのは、あるかないかという二次元的な存在ではなく、多岐にわたる技術の一つ一つを積み重ねていった結果として現れる、いわばレーダーチャート(正六角形のグラフで有名なやつです)の面積に当たるわけです。それを上手いか下手かという二次元的な基準に落とし込むことは容易ではないですし、そこには数多の勘違いや誤解が生じることと思います。それでも今回こういう企画をやらせてもらおうと思ったのは、少しでもこのブログを見てくださっている方が、どんな歌が上手くてどんな歌が上手くないのかという鑑識眼を身に付ける役に立つ指針になるんじゃないかと思ったからです。

 

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 そんなわけでGoogle先生やWikipedia情報でアニソン歌手として扱われている歌手のうち、個人的に気になる歌手について一通り扱ってみました。

 大体の歌手は放っておけばうまくなります。筆者が参考にしている音源には2014~2017年あたりで発売されたものであるという共通性はありますが、3年もあれば歌手は見違えるほど上手くなることもあるので、ここは最近また違うよ、というところもあるかもしれません。また、理由に関しては後述しますが、筆者は円盤、テレビ放送などのライブ音源及びライブで実際に聞いた歌に関しては出来るだけ考慮に入れずに考えていきたいなと思います。要するに、頼りにするのはCD音源ということになります。

 恐らく最も異論の多いであろう点は、藍井エイル鈴木このみ、水樹奈々、分島花音、黒崎真音、南條愛乃、fhánaの位置だと思います。特に藍井エイルに関していえば、アニソン界ではトップクラスの歌唱力を持つ歌手だったんじゃないかと思う人がとても多いんじゃないかと思います。

 

 とりあえず一人一人見ていきましょう。

May’n

 もともと技術は折り紙付きだったと思うのですが、夜明けのロゴス以降発声面での癖が改善され、更に聞きやすい歌を歌う歌手へと変貌しました。単純なパワーや技術だけでなく、いい意味でポピュラーらしいキャラクターを持ち合わせていることもとても分かりいい音源を生み出す要因になっていると思います。個人的に好きな楽曲は「Belief」です。

鈴木このみ

 ミュージカル出身なだけあって、圧倒的にボリューミーでパワフルな地の声と非常に器用なファルセットを持った歌手です。物理法則を上から下まで使うような歌唱が魅力ですが、全力全開の歌を聞く楽しみを享受できるだけでなく、喚声点(地声とファルセットの境目)での違和感が比較的少ないこともアニソン歌手としてとても評価できると思います。個人的には、もっと人間の限界に挑むような難しい歌をバリバリ歌ってほしいなあと思っています。お気に入りは茅野愛衣さんの楽曲をカヴァーした「オラシオン」、ボカロPさんのカヴァー楽曲である「囚人 -Paradox 2013-」等です。

Lia

 バークリー音楽大学卒業者。元々非常にフラットでフォーマル寄りな歌を歌う歌手でしたが、近年、よりポップス的な歌唱にシフトしつつあるように見えます。発声の正しさ、リズムの取り方、喚声点の処理などなど、ざっと見で特に文句のつけようのない歌を歌う歌手さんです。個人的なお気に入りは「絆-kizunairo-色」「Bravely You」などです。

LiSA

 恐らく今一番正統派のロックに近い歌を歌うアニソン歌手です。その活動の幅の広さはアニソン歌手の領域を超えているような気もします。聞きどころは抜群のリズム、テンポ感と表現力です。一つ一つのアクセントやブレスまで含めて一つの楽曲として完成した音源を安定的に世の中に供給しています。お気に入りは「Catch the Moment」です。

TRUE/唐沢美帆

 一度JPOPの歌手としてデビューし、その後作詞家としての活躍を経てアニメソングの世界へとやって来たというやや変わった経歴を持つ歌手です。かつては柔らかい声でバラードを歌う歌い手でしたが、今はどちらかというと上から下まで自在に地声を使って殴って来るタイプの楽曲が多い印象です。勿論作詞家としても現在進行形で活躍中です。(アイカツではとてもお世話になっています)お気に入りは「Dear answer」です。

___超上手いライン___

・タイナカ彩智

 もともと曲に納めるのも難しいような曲が多いことにもより、歌手の能力に比べてこの歌を歌わせるのか、というギャップが生じやすく、必然的に地声で直球勝負、高い音域は一時的にファルセットで、という形での処理が多くなりやすいアニソンの中ではかなり珍しい、JPOP的な柔らかい声を使う歌手さんです。お気に入りは「Voice〜辿りつく場所〜」です。

・水樹奈々

 なんでトップじゃないんだ!!!!!!!! と思われた方もたくさんいると思います。確かに譜面的な正しさやライブ音源のCD的な精度はあるんですが(某所では口からCD音源、などと言われていましたね)、しかしそこに歌手としての表現があるかと聞かれると、彼女の場合は必ずしもそう断言できない部分があると思います。非常に好ましい言い方をすれば、「正確過ぎて聞きどころがない」、といった具合にとどめておくのが穏当でしょうか。(因みに口からCD音源という言い方は、ピアニストの演奏に対して「MIDI音源のような正確さだね」というのに等しい失礼さをはらんでいると個人的には思っています。)お気に入りは「ETERNAL BLAZE」です(鉄板中の鉄板ですね)

Suara

 どこに置こうかとても迷いました。正直一番上でもよかった。技術的にはかなり突き抜けたものがあり、特に歌唱面ではパフォーマーとしては一流なのではないかと思うものの、それがアニメソング的な派手さには必ずしも直結していないようにも見受けられます。とはいえポピュラーとして見るとやはり技術、キャラクターの完成度共にとても素晴らしいものがあります。んー……お気に入りは「不安定な神様」です。

 

AKINO

 15歳で創聖のアクエリオンでソロデビュー。その時の印象が未だに残っている人は多いはずです。その後アニソン的には長い事ブランクがありましたが、10年ぶりにオリコンチャート一桁位を獲得した海色は文句なしの出来栄えでした。楽曲の歌唱的な意味での難しさ故に、歌い手さんが楽曲とのギリギリの攻防の中で音源の中に納めるという渋い出来の音楽になりやすいアニソンの世界において、わりかし正統派に近い(発声は全然正統派ではない気はするんですが)ような余裕を感じさせる音源が毎回仕上がるのも魅力的です。あの独特の発声に慣れさえすれば、非常に個性的で楽しく聞ける歌手だと思います。お気に入りはやはり「海色」でしょうか。

中恵光城

 誰!? と思われた方も多いと思います。同人サークルの少女病ではmitsuki名義でおおよそ人間業とは思えないような破壊力のある歌を披露していました。非常に密度のある声で複雑なメインメロディーを見事に形にするその様は、いったいどんなエンジニアが居たらこんなことが出来るのだろうと思わせられるほどです。個人サークルABSOLUTE CASTAWAYの方でも、比較的器用な歌唱を見せています。お気に入りは「climactic cry」です。某所の許諾楽曲になっているだけあって探せば聞けるんじゃないかと思います。

 

・いとうかなこ

 個人的にはそんなにタイプではないのですが、とても力を持った歌い手だと思います。迫力のあるボイスが魅力だと思われている節があるんじゃないかと思いますが、それ以上に技術を根拠にした、丁寧で確実な歌を歌う歌い手です。お気に入りは「スカイクラッドの観測者」です。

綾野ましろ

 正直発声はどうなのかなと思うところもあるのですが、特にリズム感が抜群で、歌の中でのアクセントの付け方が非常に上手い歌手です。どんな歌を歌っても小気味の良い仕上がりになり、余りにスムーズな歌われ方をするのでかえって歌が平易に聞こえやすいような面もありますが、実は技術的には毎度かなり高度な歌を歌っています。また、このCDの出来栄えなら恐らく生でも似たようなものが来るだろうという、CD音楽的に見て嘘臭さのない音源の仕上がりも魅力です。お気に入りは「vanilla sky」です。

 

___凄く上手いライン___

 

・美郷あき

 アニソンやエロゲソングをメインに活動されていました。キャラクター的にはJPOPに近いような歌唱技術をアニメソング的な派手派手しいメインメロディーの中に落とし込むというとても面白い歌を歌っていました。お気に入りは「めちゃ真剣SSS!」です。

坂本真綾

 素晴らしく音楽的なセンスに秀でた歌い手です。少なくともCDを聞く限りではそう感じます。どちらかと言えば俗にいう歌唱力というよりはそのセンスを前面に出した歌唱が多いので、果たしてこのような形で扱ってしまっていいものか迷いましたが……まああまり低い位置にはおけないという事情もありこのあたりの位置になりました。お気に入りの楽曲は「Buddy」です。

西沢幸奏

 「吹雪」で鮮烈なデビューを飾ったことでアニソン界に一躍名を広めた、非常に若い歌い手です。その歌声の力強さと軽快さにはポップス的な意味合いでの歌唱のセンスを感じざるを得ません。またCDの中に毎度(恐らく実力以上に)完璧な形で歌が収まっていて、そのクオリティが安定供給されていることも特筆すべきことだと思います。お気に入りは「The Asterisk War」です。

分島花音

 正直この位置に置くことには個人的に色々な葛藤がありますし、異論のある方も多いと思います。人間業ではないような難しい歌を非常に華やかにCDにするのですが、それが余りに人間業を超えているため、どこまでが本人の力でどこまでがエンジニアの力なのか中々分かりませんでしたが……。非常にテクニカルで難解な楽曲がポピュラー的な仕上がりでCDになるので、聞いていて音源を素直に解釈しやすい歌手さんです。個人的には喚声点を器用に行き来するようなものが出来れば更に素晴らしい音源が仕上がると思います。お気に入りは「continue」「無重力」です。

Michi

 JPOP離れしたパワフルさと軽快さを兼ね揃えた、非常に目標の高い歌を歌う歌手です。その目標の高さ故にCD音源とは言え粗が見られることもわりとありますが、若さもあり、目指しているところが明確であることもあって、大きな技術的向上の余地を残した歌手だと言えると思いますし、個人的にはそう言った小さいところでまとまらずに広い世界観と高い目標を持った歌唱をする歌手が好きなので、贔屓目に見てこの位置に。お気に入りは「checkmeta!?」です。

・早見沙織(諸事情により記事公開当時より1ランクアップ)

 声優さんです。CDを聞く限りでは発声は恐らくかなり正しく、歌手としての技量もかなりのものだと思うのですが、ただ一つ、入りの音程がかなり怪しいな、というのが個人的な感想です。入りで前の音を引っ張って後から正しい音に向かうような、そういう傾向はどこのどんな歌手でも多かれ少なかれ持っているものなのですが、この歌い手さんはその特性が強いです。それ以外には特に文句のつけようのない歌を持っています。後は、筆者はこの歌い手さんの歌はCDでしか聞いたことがないのですが、そこからだけだとかなり判断の難しい歌い手さんの一人だとも思います。この人のオリジナル楽曲はどちらかというと小器用さを求められる歌が多く、もっとアニソンらしい、歌手のフルパワーを全開(二重表現)にして歌われるような歌があればそれが一つの基準になると思うのですが……筆者のお気に入りは「Installation」「夢の果てまで」です。

小松未可子

 声優さんですが、個人的には声優さんとしての活動より歌手としての活動の方に注目しています。非常に(フォーマルの対義語としての)ポップス的なキャラクターを丁寧に確実に操る姿は、まさにプロのパフォーマーと呼ぶのにふさわしいと思います。これからの活躍に期待です。お気に入りは「Maybe the next waltz」「真夏の夜のパレード」です。

・佐咲紗花

 曲によって大きくキャラクターが異なることがあるのでどこを照準にしていいのか分かりませんでしたが、特にお気に入りの「ワールドエンド」「FEEL✕ALIVE」あたりを参考にしました。この二曲は他にはないような実直さと力強さがあり、特にFEEL✕ALIVEのサビの高音域の抜け感は技術の証明にぴったりだと思います。

___かなり上手いライン___

Choucho

  一部の人にとっては言わずと知れた、ニコニコ的な意味で言う「歌い手」出身の歌手さんです。一つ上に入れても良かったんですが、歌はパワー! を座右の銘にする個人的にどうしても線の細さが気になって仕方がなかったので独断と偏見でこちらに入れさせてもらいました。歌の精度には特筆すべきものがあり、複雑で多彩な歌が様になるのは見事なワザマエです。お気に入りは「Million of Bravery」「優しさの理由」です。

川田まみ

 今のアニメソングがアニメソングたる所以を形作ってきたようなベテラン歌手ですね。2016年の活動休止発表は大きな話題を呼びました。ポップスの歌手的なファルセットと地声をつなぐミックスを使う他、その喚声点付近での微妙な揺らぎを利用した、裏へ抜けて行く独特の個性的なビブラートが特徴でした。お気に入りの曲は「masterpiece」です。

KOTOKO

 川田まみが大ベテランならKOTOKOはパイオニアといったところでしょうか。KOTOKOとI’veサウンドがなければ今のアニメソングがあったかどうかも分からないというような歴史的な存在感のある歌手です。お気に入りの楽曲は「七転八起☆至上主義!」です。

藍井エイル

 歌唱の特徴について説明すると、CDに(恐らく)意図的に部分部分歌唱中の乱れが残されていて、それが歌唱の「幅」として機能しています。今一ピンとこない人も多いかもわかりませんが、要は表現の一種として歌唱中の乱れを生かすような作りがなされている音源が多数存在しているということです。本当にプロのエンジニアの技術には脱帽です……お気に入りの曲は「ラピスラズリ」です。

・今井麻美

 声優の世界では個人的には随一と言っていい歌を持つ歌い手さんです。特にアイマスの如月千早役での活躍が有名かと思いますが、個人でもたくさんのシングルを発売しており歌手としての活躍も目覚ましいものがあります。お気に入りは「眠り姫」です。

田所あずさ

 声優歌手さんですが、既存の声優歌手とは一線を画したような、声をあまり作らないストレートな発声が魅力的な歌手です。個人的には技術的にはまだ未完成な所もあるような気がしているのですが、現段階で完成形の像が割とはっきりしているので聞いていてとても楽しみな気分にさせてくれますし、今後の技術的向上に大いに期待できる歌い手さんだと思います。お気に入りの楽曲は「ストーリーテラー」です。

・ZAQ

 普通に上手いのか上手くないのかCDだけ聞いていると非常にわからりづらい歌手です。個人的にはCDのようには上手くはない読みでここに入れさせてもらいましたが(特にCDは高音域にエンジニアの操作の痕跡が残されているんじゃないかと感じます)、聞く人によって評価が大きく変わる可能性のある歌手だと思います。 声質こえしつ やリズム感は中々のものだと思いますし、楽曲を自分で作ったり他人へ提供したりと、アニメソング全体に対する貢献度は並々ならぬものがあると思います。お気に入りは「Sparkling Daydream」です。(これも超鉄板ですね)

___上手いライン___
・fhána

 よく言えば器用で、ガールズポップのような歌い方をする歌手さんです。主に古い音源や新しい音源の中でも平易な箇所で少し声を作るようなところがあり、そこがいい具合に個性的な歌の響きを演出しています。特に高音域の抜け感がとても気持ちよく、声質が輝いていると思います。お気に入りの楽曲は「青空のラプソディ」です。

・Ray

 全体に少し声を作る歌い手です。楽曲によってはKOTOKOや川田まみの跡を継ぐような歌唱をするなあと思わせるようなところがあります。裏の声の使い方はKOTOKOや川田まみよりも上手だと思いますが、全体に作っているが故の線の細さがあるのが個人的に気になっています。お気に入りの曲は「初めてガールズ!」です。比較的パンチのある歌がきけます。

・黒崎真音

 ZAQとGARNiDELiAの間を取ったような発声の癖を持った歌手だなと個人的に思っています。声質などを含め音楽的なセンスは素晴らしいものがあると思います。ただライブなどを聞いていると、胸の息を使うので曲が進行していくとバテ気味になって来る箇所が散見されます。またそれを考えずとも、発声にはやや怪しいところがあるのではないかということでここに置かせてもらいました。ただ、正直一つ上でもよかったかな……とも思います。んー……お気に入りは「X-encounter」「黎明-reimei-」です。

 ・橋本みゆき

 アニメソングの他に主にエロゲソングをたくさん歌っていらっしゃる歌手さんです。大雑把に声を作る歌唱と声を作らない歌唱があり、高音域になるに従って声を作る割合が増えていきます。声を作る歌唱は器用さにあふれ、声を作らない歌唱は非常に堅実で、楽曲の節々から楽曲以上のポテンシャルを感じさせる歌い手さんでもあります。お気にいりの楽曲は「Ageless Love」です。

・茅原実里

 声優歌手さんです。声優さんだけあって綺麗で自然な感じのする声質を持っていますが、やはり多くの人が気が付かないような部分で声を作るところがありますね。お気に入りの曲は「境界の彼方」です。

・南條愛乃

 炎上ポイントその2ですね。アニメソングを聞く人ならだれもが知っている言わずと知れた歌姫だと思います。声優さんと歌手さんの両方の仕事を同時にこなすシーンの多い歌手さんとしては水樹奈々と並んで(もしくはそれ以上に)有名で大きな活躍を残しているのではないでしょうか。ただ声優歌手さんだというのもあると思うのですが、一般的な歌い手の常識から考えると彼女の歌唱は明らかに声を作りすぎなきらいがあります。そして、CDでさえ気になるのがメロディーラインの不安定さです。まあここまで声を作っているなら仕方ないなあと思わせる部分はありますが……お気に入りは「only my railgun」です(これも鉄板中の鉄板ですね)。

・春奈るな

 この人も歌の中でかなり声を作る傾向があります。そこが少し音楽性にふたをしているな、と個人的には思う節がありますが、素晴らしいと思うのは声域を上から下まで使う歌を歌うところです。薄っぺらい「表現」に傾倒しがちなポップス歌手の中でも、いかにうまく譜面を歌にするかみたいなところで勝負ができる中々いいものを持った歌い手さんだと思います。お気に入りの楽曲は「君色シグナル」です。ポップな印象とは裏腹に難しいところのある楽曲です。

___十分上手いライン___

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 最後になりましたが、ここで挙げた歌手さんたちはみんなそれぞれにうまい人ばかりです。個人的にあまり評価していない歌手さんは名前を挙げていませんが、調べ方に網羅性があるとは言い難いので、名前がないからと言って個人的に低評価であるというわけでもないです。さりげなく漏れている歌手さんはもしかしたら後日ちゃっかり追加しておいたりするかもしれません。

 因みに筆者はライブ音源は積極的には確認していません(全く見ていないわけではないです。不用意にも映像や音源をテレビやニコ生などの形で拝見してしまった歌手については考慮に入れています)。これは、ライブだからと言って生とは限らないし、その生でない度合いに歌手や環境によって差があり(俗に「被せ」と呼ばれるのですが、事前に用意したプリエンコーディング音源をスピーカーから流しながらマイクからの入力も同時にスピーカー出力し、そのプリエンコ―ディング音源とマイク入力の音量の割合を適当に設定するという手法がとても広く使われています)、ライブ音源を聞いたから歌い手の実像が分かる、というような時代は終わりを迎えています。また、BD音源やDVD音源になる過程において実際のライブ音源から更に直されていることがよくあることから、リスアニの企画のような明確に生であることが分かるようなものが出揃わない限り、ライブ音源を聞いて考慮するのは返って公平性に欠ける可能性すらあると考えています。

 そのため、CDとライブの歌唱の間に大きな隔たりがある歌い手さんのことは基本的に考慮に入っていません。そのあたりがまた小さな論争を呼びそうな気もするのですが……とりあえず書いてみたverとして暫くの間この記事は公開しておきます。また気が向いたらちょくちょく編集するとは思いますが、とりあえず今回はこんなところで。

 

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