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謎の音ゲー「レジェンヌ」について思う事。

 一言に音ゲーと言っても世の中にはいろいろなものがあります。筆者は音ゲー歴10年以上ですが、専ら上から降ってくるものばかりが得意で、それ以外のものは未だに全く出来ないでいます。まあ世の中の音ゲーの半分ぐらいは上から降って来るので、それでも特に遊ぶゲームに困りはしないのですが……

 

 そんなこんなで先日ツイッター上で思わぬ形で新たな音ゲーを発見しました。どうも「歌が上手すぎて面白い」「選ぶシンガーによって同じ曲でも歌い手が変わる」等など、歌い手ファンとしては気になる情報盛りだくさんです。どうも「レジェンヌ」というゲームらしいです。

 世の中に存在している「歌が上手い」情報の半分は 声質こえしつ の良さを素人目に歌が上手いと判断してしまった系の勘違い、そして残りの5割のうち3割は伝聞推定によるソースロンダリングに乗っかった、何のとっかかりもない嘘で成立しています(さりげなく断定しましたが、少なくとも筆者は強くそう感じています)。果たしてその実力や如何に……?

 

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・レジェンヌ -BE A STAR- 『Don't think, Feel!!』 - YouTube

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・レジェンヌ -BE A STAR- 『it's show time』 - YouTube

 

 サンプルを聞いたとき、筆者は直観的に、メンツの半数は正規の音楽教育を受けて来た人材だなという感じを受けました。正規の音楽教育を受けたメンバーというのは、こういうゲームの企画ではオーディションで集めようと思っても中々集まらないものです。従って、恐らく半数を何らかの手段というかルートで集め、残り半数をオーディションなどで集めたのではないかな? と筆者は推測しました。

 そして調べていくうちに色々なことが分かってきました。どうもメインメンバー8人のうち3人が宝塚出身者らしいのです。この点で言えば筆者の推測は半分あたりの半分外れぐらいな感じでしょうか……(8人中4人ではなく3人だったので)そして残りの5人はやはり、どうもオーディションで選んできたようです。しかし、レジェンヌ、という一風変わった名前、そしていわゆるソシャゲの「石」要員であるところの「タカラット」、さらにはゲーム内通貨であるところの「エンヌ」なんかは、言われてみるとかなり宝塚を意識したネーミングですねえ。(敢えて言及するまでもないことかもしれませんが、宝塚歌劇団の団員はタカラジェンヌと呼ばれます)

 そしてこれはとても面白い企画だと思います。というのも、これまでアイドル系アニメやバンド系アニメ企画の系譜をひくものには声優を使うという発想がメインだったからです。確かに舞台俳優さんを使えば少なくとも歌に関しては声優さんを使うよりもクオリティが高いものが作れそうだぞというのは、あながち間違った発想でもない気がしますし、歌に関してだけ言えば、現に既存の声優がやるものよりもはるかにクオリティが高いものが出来上がっていると思います。

 

・歌が上手い!

 個人的に一番気になったのはやはりこの点ですね。メインメンバーは中の人を宝塚出身者が務める本科生3人と、オーディションで選ばれたらしい予科生5人で構成されていますが、皆中々に上手いです。特に宝塚組本科生の三人(北咲彪凛、建神百、紗曲なな瀬)と、オーディション組予科生の蜜目凪緒ちゃん、黒憧ましろちゃんの歌はパワーがあって中々のものです(調べたところお二方とも俳優さんらしいです)。他の予科生も決して見劣りするものではなく、寧ろレコーディングされたものを聞く限りでは、昨今世にあふれかえる一般的なバンド系アニメ企画に入れば立派にメインを務められるぐらいの技術を持っていると思います。

・北咲彪凛(CV.藤咲えり)

 凛とした歌唱が特徴的で、声質がとても素晴らしいです。他方Be a star!などさりげなく小器用さを要求されるような歌については、今のところ少し生まれ持ったものを持て余すようなところもある気がします。少し小回りの利かない歌唱になってしまいがちといいましょうか……ゆったりとしたリズムの中での歌唱を求められるベルエトワールはとても聞き心地がよかったです。

・建神百(CV.百千糸)

 レコーディングされたものを聞く限りでは発声がとてもよく、声が遠くまでよく伸びていきます。どんな歌を歌ってもかなりのクオリティで形になるだろうなと思わせるような器用さと技術を持った歌い手でもあります。Don’t think, feel! を一番無難に音源にまとめてあるのはこのキャラクターなんじゃないでしょうか。

・紗曲なな瀬(CV.七瀬りりこ)

 一般的に使われる意味での「歌唱力」なる単語が一番当てはまりやすいのはこのキャラクターなのではないかなと思います。技術故に歌唱の中で生まれる余裕を、歌の中で上手く「表現力」に転化し、歌に表情を付ける技術があると思います。とりあえずオープニングにもなっているBe a star! はこの3人の面子の中だと一番上手く形になっているんじゃないかと思います。独自の世界を持っていて、聞けば聞くほど発見のある、面白い歌い手さんです。

・蜜目凪緒(CV.小嶋紗里)

 予科生ですが、本科生と比べても割合遜色ないぐらいの歌を歌います。特にアップテンポの曲では率直にパワーがあり説得力のある歌を歌いますが、同時にパワーのある歌唱というものの制御の難しさを感じさせるような場面も楽曲の中でしばしばありますねー。んー……広い世界を持っていそうで、聞いていてとても面白い歌い手さんです。Don’t think feel!!は小さな粗こそあれど、思わず聞き入ってしまうような、とても素晴らしい出来だったと思います。

・幻芭ゆら(CV.上間江望)

 ポップなキャラクターに加えて、丁寧な歌唱が特徴的です。取り回しの良いキャラクターを生かし、音程やリズムに関してはいう事なしの歌を毎回仕上げてきます。その分聞いている限りではやや他の歌い手さんと比べると力で負けやすいといった面もあると思うのですが、歌はパワー! を信条にしている筆者としても、とても技術の完成度が高く、特筆すべき歌い手だと思います。いわば、「小さく完璧な世界」を持った歌い手さんです。「シャングリラ」はこのキャラクターが一番説得的な歌に仕上げているのではないかと思います。

・黒憧ましろ(CV.門山葉子)

 歌唱力にはかなりのものがあると思います。ややフォーマル目なところもある大きな歌唱の中に非常に細かい完成度の高さがあり、まずは無難に収めることが要求されるゲーム音楽、アニメ音楽の歌唱の世界において、毎回のように無難というには出来の良すぎる音源が仕上がってきます。力もあり物語や構想も分かりやすく完成度も高いという事で、このキャラクターもとても聞いていて楽しめる歌い手さんになっていると思います。彼女の「カーテンコール」は大胆さと小器用さが高いレベルで両立されていて、個人的なお気に入りです。

・狛守和音(CV.木村千咲)

 皆さんの大好きなアニメ音楽の時間です。露骨に声を作る歌い手さんなんですが、その声の作り方がとても器用で、多くのアニメ音楽にかかわる歌い手さんが「声を作る」という課題の前に本来持つ音楽性の幅を生かし切れていない中、和音ちゃんの歌はかなり発展性がある(まだまだ大きな世界を目指せる)歌唱になっていると感じます。逸材です。歌唱面だと特にフレージングがとても器用で分かりやすく、レコーディングされたものを聞いている限りだとボーカル音楽的にというよりインスト的にやや難しいところのある楽曲がかなり様になるのではないかなと感じます。完成形がどうなるのか、聞いていて楽しみですねー。

・布袋はつ飛(CV.柏山奈々美)

 この人も少し声を作るところのある歌い手ですが、その声質がとてもいいです。特に歌いやすく実直な楽曲でとても生き生きとした歌が聞けますが、声質と、アクセントがアタックの位置からやや遅れて来るというところで少し歌が甘い響きを帯びがちで、その甘い歌唱が好きかどうかで評価が大きく変わる歌い手だとも思います。この8人の中では和音と並んで最も典型的な声優歌手さん的な歌い手だと思いますねー。

 

 予科生の中の人についてさらに調べてみると、5人中2人が俳優さんで3人が声優さんであることが分かりました。しかし、こんな歌を歌う人材がゴロゴロしているのにもかかわらずバンド系企画やアイドル系企画等歌を歌う企画で中々歌の上手い歌い手さん声優を目にすることがないというのは、声優の仕事というのはやっぱり歌以外の部分が色々と難しいんでしょうねえ……。個人的には、これを機にもっと活躍してほしいと思える歌い手さんばかりでした!

 

・ゲーム性は……

 音ゲーだと思うんですが、なんというか、少なくとも上から降って来るタイプの音ゲーではありません。太鼓の達人式の横スクロール系統のゲームなんですが、なんと移動するのはオブジェではなく判定位置の方です(!) 試しに上の方の動画を見てもらえれば分かると思いますが、女の子のキャラクターが判定位置になって左から右に移動していき、オブジェにちょうど重なった瞬間にタップするというシステムになっているのが分かると思います。移動するとは言っても、AC版DJMAX的な判定位置が横移動するタイプではなく、一応判定位置がわりの女の子のキャラクターは画面左端に固定されています。

 ここまでの説明だと、オブジェが右から左に流れていくタイプの普通の音ゲーと変わらないように聞こえると思うんですが、このゲームの場合ゲームが進行していく途中には例えばトランポリンや玉乗り、綱渡りがあったりして、判定位置の女の子がその状況にあった小技を披露します。端的に言えばアトラクションに差し掛かると画面の上下移動やズームが発生するわけですが、その動きが結構独特なので、慣れないうちはアトラクションの度にコンボを切ることになると思います。

 ゲームの進行状態に伴ってルートが分岐するのも面白いシステムで、具体的にはアトラクション上でコンボを切ると一つ下段に落とされ、その度にキャラクターの通る道筋が変化します。ゲーム中アイテムを取得することがあるのですが、アイテムの入った箱は大体最上段に存在しているので、少なくともアイテムを回収するまでは気の抜けないプレーが要求されることになります。

 

 肝心のスコアの集計方法なのですが、しばらく遊んでみた印象としてはどうもコンボ数がスコアに直接影響してくるようです。コンボをつなげばつなぐほど、1コンボ当たりの得点は上がっていくような感じがします。1か所でも切ってしまうと大幅な減点になりますが、逆に繋ぎさえすれば判定はそこそこ適当でも最低限のスコアは出るシステムになっており、なんというか今のところコンボこそ正義のコンボゲーみたいですね。

 難易度的には……今のところ無難な感じでしょうか。まんま上から降って来るタイプのデレステみたいな既存の音ゲーを模した拡張性はない分そんな激しい譜面はやってきませんし、まあ慣れれば最上位難易度にも気軽に手は届くぐらいなんですけど、独自の要素が多い分難易度を上げなくても遊んでいて楽しい譜面にはなりやすいかなって感じです。

 

・ガチャについて

 このゲームではキャラクターは開始時点で全員出そろっています。ガチャの対象となるのはキャラクターの「衣装」です。レアリティの高い衣装をガチャで入手して、ゲーム中に入手できるアイテムを使って衣装を強化する、という流れのようです。

 最上級衣装の出現確率ですが、4%と比較的高い数字が設定されています。ただ、ダブりが出るたびに限界レベルが上がっていくシステム故に、衣装をMaxまで強化しようとするとかなりの根気が必要になると思います。

 特筆すべきは衣装のレベルの上がりづらさで、RPG式にレベルが上がれば上がる程レベルを上げるのに必要な経験値が上がっていく仕組みになっています。ただしレベルが上がれば上がる程ステータスの上昇率も上がっていくので、必ずしも経験値の効率が悪くなっていくわけではないようです。ようは上げれば上げるだけいいということのようですね。

 

・総評

 個人的に気になるのは、ソシャゲ独特の、ノベルゲームパートでセリフの表記と違う短い音声が流れるあれでしょうか。後は公演が放置ゲーなのをなんとかしてくれれば……

 曲によって判定の微妙なズレがあるのが気になりますが、独特の操作感があって意外と面白いです。あとやっぱり、歌が上手いのがやってて楽しいですねー。サウンドトラック的なものが出たら多分買うと思います。

 今のところ無課金だとスタートダッシュが相当辛い気がするのと、課金して環境を作るにしてもセットアップに相当のお金がかかってしまう点(公演チケットフル拡張に約9000円程度……)などは個人的にはちょっと難しい部分があるかなという気もするんですが、(筆者は我慢しきれずに、当時限定販売していたスターターキットを購入しました……)まあそこさえ乗り越えればかなり遊べるゲームになっていると思います。ただ如何せんセットアップに労力がかかり過ぎるきらいはありますねえ……多分またどっかしらのタイミングでキャンペーンが始まると思うので、はじめるにはそれを待つのがいいかもしれないです。(というか、キャンペーン、やってください! お願いします……!!!)

 というわけで、今回はただのゲームの宣伝のような記事になってしまいましたが、世の中にはいろんな変わったゲームがあるんだよという事で、今回はこんなところで。次回は歌い手の話を更新したいなあ……


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