試しにアニソンを聞いてみる。

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歌手の話 田所あずさ(DREAM LINE、運命ジレンマなど)

 この人は声優出身の歌手だ。声優音楽的なものは今昔問わずアニメソングの中には存在し続ける文脈だけれど、ただ今となっては田所あずさは他の声優歌手とは一線を画す存在になっていると僕は思う。

 とりあえずざっと聞いてみると、音程などにやや乱れが見られる音源がある(特に初期のもの)のがわりと気になると言えば気になるが、CDとして聞くならば恐らく個性を出すために敢えて直されていないものが多いと考えるのが妥当だと思う。彼女の歌を聞くうえで一番重要なのは声を作らない歌唱を気に掛けることだ。ほとんどの声優として有名な歌手は声を作って歌うことにアイデンティティを見出している節があるし、田所あずさのデビュー付近のCDを聞くと若干そういう歌もある。が、彼女の場合は最近のものに近づくにつれ発声という意味で非常に安定感のあるものが増えて来て、ぐっと声優というより歌手の側に寄って来たところに既存の声優歌手との大きな違いがあると思う。もっとも小倉唯や竹達彩奈なんかと比べると悪い言い方ではあるが声優としての知名度に差があるから、CDを出すにあたって声優というより歌手としてのアプローチが増えて来るのは当たり前の話なんだが、それにしても田所あずさは今となってはそれなりにアニソン歌手として技術を誇れるような歌い手になったと思う。

  

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【田所あずさ】1stSingle「DREAM LINE」PV short ver.

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田所あずさ / 純真Always - MV Short Ver.

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田所あずさ / 5th Single - 運命ジレンマ - Music Video Short Size

 

 田所あずさは声優なので初期の楽曲は非常に声優音楽的なアプローチの楽曲が多かった。今でもそうした傾向は曲の中にあるものの、セカンドアルバムのIt’s my CUE.前後から徐々に傾向が変わり始め、今やロックシンガーとも呼べるような存在になったと思う。それぐらい、ロックと声優音楽のハイブリッドとでもいうような楽曲が増えて来た。

 田所あずさは声がいいし素材がいい。あとは正統派の歌手として殴り勝つ地力が付けばしっかりとものになると思う。何度も言うようだけど声優上がりなのに声はしっかり前へ出てるあたりが他の声優歌手とは違うなと思わせるところで、ようつべでライブ音源(かは弄られている可能性もあるので厳密には分からないが、とりあえずライブ音源風な何か)を聞いたときは正直大したことのない歌手だと侮っていたので焦りから全身の毛穴から汗が噴き出てくるような思いがした。まあざっくり言ってその程度には実力のある歌手だ。

 アニメソングであるということは普通のJPOPとの距離感を何かしらの方法で生み出す必要がある(いくらアニソンがJPOPに近づいてきたという雰囲気があるとは言え、未だ同じものとはいいがたい距離感が両者の間には存在していると僕は考えている)。その距離感の根拠が技術面だったり作編曲面だったりと、まあいろいろあるわけだが、アニソンに共通して言えるのは流行りよりも歌い手の個性やキャラクターを大事にしているという事だ。田所あずさは最近のJPOPでは流行らないような種類の正統派の歌唱を持った歌い手だと言えると思う。個人的にはTRUEや鈴木このみみたいな地力で殴って来る歌手と少し印象がダブるところがある。曲に共通性は少ないが恐らく歌唱には共通性があって、地声(紛らわしい表現なので、ミックスやファルセットでない声、とここでは定義しておく)で派手に見せようとするあたりが一番分かりやすくそれが表れている個所だと思う。

 上記の二人と一番違うのは難しい歌を歌わないことだ。特に鈴木このみは歌の難しさだけで言えば邦楽全体で見てもずば抜けているような圧倒的な存在感があるし、TRUEも余裕のあるところで実力を見せびらかす余地のあるようなファンタジックで独特の世界観を持つ曲を好む傾向があると思う(ユーフォのタイアップは少し方向性が違うけれど)。彼女らに共通しているのは実力を示す方法として積極的に作編曲からのアプローチを行っているということで、他方田所あずさの曲はもっと無難で標準的なロックが多い。まあそれで成功しているのだから言う事はないけれど、個人的にはアニソンと言えば歌手に実力並みかそれ以上の難しい歌を歌わせてそれをエンジニアがCDに収めるというものだという印象があるので(失礼)、田所あずさのような、まあこの歌手がこの曲を歌えばこうなるだろうなという自然な聞きどころのある音源は一周回ってやや新鮮ですらある。まあそれぐらい今のアニソンというのは全体として難しい歌の方に傾倒しているということでもある。

 今後田所あずさが鈴木このみカーストに名を連ねることはないとは思うが、アニメソングならば一応その方向も考えておいて損はないんじゃないかという期待を持たせるような、難しい歌も万能にこなせるような能力をもった歌手なんじゃないかと思うし、もしその方向性で当たれば、アニソンの世界にまた一人逸材が舞い込んで来たという歓迎を受けるような歌手にもなれるんじゃないかなーという感想を(あくまで個人的には)抱いた。4/26発売予定のDEAREST DROP(ようつべに公式MVが上がっている)を聞くに、自分自身の歌をまだ少しコントロールしきれていない点もあるということと、今後は今までとは違った方向性の曲で売り出していく可能性も感じさせるものの、何れにせよ現段階である程度の地力があるだけに今後が楽しみな歌い手だ。ついでに個人的に推しているアニメアイカツでの声優としての活躍にも引き続き期待したい。

 

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