試しにアニソンを聞いてみる。

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ラブライブと紅白歌合戦とアイドルアニメ

 以前ラブライブとアイマスのボーカル的な立ち位置について言及した記事が最下部のリンク先なんだけれども、あれはやや冗長だったと思うので、補足しながら簡単にまとめてみようと思う。

 

 10年前にアイドルマスターが登場したことでアイドルアニメは一つの定番になった。個人的な考えを述べさせてもらえばそのときからアイドルマスターが目指していたのはプロのアイドルであり歌手だったと思う。アイドルに求められるもっともスタンダードな要素は歌とステージングなのだ。ステージングはキャラがやるとして、歌は歌い手を連れてこなければどうにもならない。

 

 その点に関してはラブライブは微妙にコンセプトが違うと思う。彼女たちは学園アイドルであり、そこには明確なアニメヒロインとしての主張があって、歌手を連れてくるというより歌の歌える声優を連れて来て歌に収めるという考え方だったはずだ。まあやってきている人は今となっては歌手かも知れないが、彼女たちが自分の歌手としてのキャラクターで歌うのではなくキャラとして歌う時点でそれは歌手ではないのだ。

 そもそもラブライブに求められているのは極めて声優的な表現であって、プロの歌手らしい表現ではない。音楽性という意味ではそこにラブライブらしさがあって、アイドルなんだけど萌えキャラとしての声優性を持つというのはシンプルに見えてそれなりに難しい考え方だったと思う。

 何が難しいって、普通に考えれば歌手としての歌と声優としての歌の間に落差があることだ。建設的な言い方をするなら、歌手の技術は歌に集約するし声優の技術は声に集約するのだから違いがないはずがないんだが、歌手の喋りには商品価値が出なくても声優の歌には商品価値が付く。実際には明らかに歌手として歌う声優も珍しくないし、μ'sの中にはそういう歌い手が何人かいるが、声優名義でそういう歌手的な歌が出たとしても、殆どの場合は声優としてはキャラソンが出るわけで、結果的に声優の中にある歌手としての表現は割りを食うのだ。

 ラブライブに関して言えばかなり特徴的に声優的な歌へのアプローチがある。学園アイドルというコンセプトは歌い手の声優性に支えられていると言ってもいいし、むしろ歌手としてのアプローチは大げさ過ぎるし、アイマスがソロへ帰着しラブライブがユニットへ帰着することには双方の音楽的な特徴がよく現れていると思う。ようするに、現代のアニメ的なコンテンツとしてはラブライブのほうが受けがいいということだ。

 

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 問題なのは、今まで紅白に出てきたアニソン歌手(自体そんなにいない気はするが)は総じてどのアニメで使われているだのという背景を理解していない人が見ても、JPOPとして理解できるものだったという事だと思う。

 一言で言えばラブライブの表現はアニメ的な文脈が強い。つまりアニメから紅白の舞台にふさわしいユニットを引っ張ってくるなら恐らく初代アイドルマスターのほうが適任だろうという話になるのは当然で、それは単純に歌に歌い手らしさがあるからだ。

 そこでμ'sが選ばれたのは、恐らくそれが流行りであり文化的な影響力があると考えられたからだろう。NHKが単にアイマスには何の興味がなく1アニメとしてのラブライブを必要としていたので再放送が決まったというのもわりと自然な解釈ではあるけれど、歴史を見てきたようなおたく的にはラブライブが加勢したことでNHK的にアイドルアニメに手をつける動機が強まった(アイマスを前提としてラブライブが支持を得た)ことから代表としてラブライブを使っていると解釈したほうが、実際どうかということとは別にしてアイマスからラブライブへの流れを見てきたオタク的には合理的なんじゃないかと思うし、それを言うならここ3年ほどの間にラブライブが作った学園アイドルというテーマをこれからは別のアニメが踏襲していく可能性もあるだろうし、μ'sが紅白の舞台に立つことにも納得がいくと思うのだ。

 

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