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歌手の話 川田まみ(緋色の空、No Buts!、JOINTなど)

 

※iTUNESは音がでかいので注意! 文章の乱れをかなり修正しました。更に太字部分を加筆しました。

 

 川田まみはアニメソングの世界における大ベテランだ。昔の曲に有名なものが多いので余計そう感じさせるところもあるかもしれない。10年前スターシップオペレーターズでradianceを歌った時のこともなんとなく覚えてはいるし、まだガキの頃の話だが川田まみもついにメジャーデビューかと勝手に感慨深さを感じていた。まあI'veで歌い始めたのは2001年頃かららしくそこに4年間のブランクが有るので、子供心にそう感じるのはおかしな話ではないと思う。ついでにKOTOKOがShooting Starを歌ったのは2002年の1月らしいので、今から14年も前の事になる。I've サウンドが何かの神だと思っていた子供時代を持つものとしては衝撃的な数字だ。

 

 個人的にはハヤテのごとくを生で見ていたことも有ってGet my way!が気に入っている。3分に満たない短さとド直球のロックみたいな曲に加えて歌もいかにもロックな歌われ方で、出来るだけ地声で引っ張るメリハリの有る歌になっている。まあGarden以前の最近のこなれたロックに比べれば未熟さを感じるもののそれとは別に大好きなんだけど、この曲は前後のシングルと比較するとそこまで売れたわけではないらしくそんなに言及されているのも見たことがない。


 代表曲としてよく取り沙汰されるのは緋色の空、JOINT、No buts!とかだと思う。かなり変化のわかりにくい歌手ではあるが緋色の空は今聞いてみるとわりと死にそうになりながら歌っているし、時の流れを感じさせる部分もないではない。もともとメジャーデビュー前から川田まみはミックスの方にすんなり逃れていく(昔は意図的に使うというより、勝手にそこに入っていく部分があった)ので高い音まで柔らかく歌えるという部分を非常に上手く利用して音源を作る歌手だったあたりが結果的にKOTOKOより評価されていた部分もあったような記憶があるが(ちなみに僕が聞いてきた限りではKOTOKOは世間で思われているようなイメージとは別次元の技術を持っているし、そこが返って歌に平たさを感じさせるような部分になっていたとも思う)、まあ緋色の空自体あのCDのように歌おうとするととても難しい歌なので、その難しさがどこまで歌手にとっての時期的な問題に転嫁されるべきかは分からない。

 

緋色の空

緋色の空

  • 川田まみ
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

 ただ正直あのサビの複雑な喚声点(地声と裏声が入れ替わるポイント)の行き来(上下が激しいというより、同じ音を表のまま行こうとしたり裏返ろうとしたりする)は、技術的な問題を含めてCDで音源にした際、歌唱力的な部分からどうしても選ぶことが出来なくて残った部分なんじゃないかなという感じがするし、今ならもっと合理的で歌いやすいCDに出来るんじゃないかと思う。まあ、出来るということが必ずしもいい事につながらないのがCD音楽の世界ではあるんだが。

 

※※※                                            ※※※

 

JOINT

JOINT

  • 川田まみ
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 JOINTは緋色の空ほどではないだろうけど、多くの人が抱いている川田まみのイメージをよく体現した楽曲だと思う。PCゲーム時代にもっぱら使うことが多かったような、高音域が地声と裏声を跨ぐというよりは、裏声の領域の中に完全な裏声とミックスを作って、その間で少しふわふわとしながら音楽的には綺麗に曲に収まっていく歌われ方だ。曲自体もどことなく昔のI'veのものでもそんなにおかしくないなと思わせるような出来になっていると思う。

 

No buts!

No buts!

  • 川田まみ
  • アニメ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

  No buts!はとても軽妙で洗練された歌が使われていてボーカル曲として質がいい。長く歌をやっていないと出来ないような器用で子音の軽い、難しい意味でのポピュラー音楽のいいところを活かした歌だ。masterpieceあたり(上のとかでも別に良いんだが)と比べると川田まみがとてもシンプルに音を取るのがわかると思うし(わかってくれ)、この頃から川田まみの歌い方はかなりポップスとしてシンプルな方に舵を切っていった。それが一番わかりやすいのは、多分あの特徴的なビブラートを聞く機会がいきなり減ったことだと思う。あれもわずかな不安定さの中から生まれる技術だったから、結局安定感のある歌とは併存できなかったのだ。

 まあそういう変化も長く歌をやっている歌手なら多くの人が気がつかないだけで誰でもが通る道なんだが、この人の場合はこの後ド直球のロックというより、Break a spellみたいな少し音楽的にもボーカル的にも複雑さがあるものが出てくる傾向が強くなっていく。歌い方がシンプルになったことで、難しい物が出来るようになったということなんだろうけど、曲自体も簡単で簡素というイメージを持たれていそうなSee visionSだってこれ以前の曲に比べれば歌うのはとても難しいし、こういう歌がこの時期以降の川田まみの起点になったと思いながら聞いてもらっても良いんじゃないかと思うし、このまま突き進んで行っても問題なかったと個人的には思うんだけど……。

 

Borderland

Borderland

  • 川田まみ
  • アニメ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 Borderlandは彼女にとって現時点では非常に優秀な成績を残した一番新しいシングルだと思う。ロックな楽曲で個人的にはとても歌手のいいところが活かされていると思うが、この曲を聞いて何がしたいのか分からないという印象を抱く人も多いだろうし、その感覚がおかしいというつもりはない、というか実際独特の平たさがある。インスト音楽的な、ベースラインを聴かせるパッケージングと、ボーカルものの折衷案ぐらいの発想から来ているのに、勢いがあっていいところに着地できたので作ってみたみたいな(作編曲者に非常に失礼)ちょっとスタイリッシュな音楽というイメージで僕は割と好きだ。

 

※※※                                            ※※※

 


Gardens

 


【川田まみ】16thシングル「Contrail~軌跡~」試聴用MV(TVアニメ『蒼の彼方のフォーリズム』OPテーマ)

 この人の最新楽曲はContrail〜軌跡〜だ。この曲は派手に声を作ってある。ひとつ前のGardensでもそういう傾向はあって、あってというかあの曲はまさに昔のI'veサウンズを聞いているような雰囲気のある曲だと思うんだが(その意味ではキレキレのロックから川田まみに入って、当時を知らない人はこの曲が出てきた時面食らったかもしれない)、多分少し売上が落ちてきたとかタイアップが取りづらくなったことでメジャーシングルの方針を転換したというか戻そうとしたんだと思う。(ちなみに彼女の代名詞でもあるビブラートも、少しミックス気味に作ったような発声から出てくることが多かったし、今でもPCゲームとのタイアップなどの中ではよく聞くことが出来る。曲の印象が変わるとともにメジャーシングルでもそれが復活してきた)この道が今のアニメソングの中でどれ位通用するのか、正直未知数なところはあると思うが、PCゲーム音楽の方の2015年に発売された白金スピリッツのエンディングテーマであるAim 〜we can do all to be fine〜を聞いたときは実は時が止まっていて今が2004年あたりなんじゃないのかと思ったぐらいそのままの空気が残っていたし、あれはあれで凄く良い音楽が出てくると改めて思う。


蒼の彼方のフォーリズム PS VITA版 グランドOPムービー

(動画は「crossing way」2016年の楽曲です)

 

 しかし、何人かの有名なアニソン歌手がツイッターで川田まみの活動休止に言及していたりととても多くの若い世代に文化的な影響をもたらした歌い手なのは間違いないとして、そうした世代は川田まみのメジャーデビュー後の歌を聞いて育ったんだろうと思うと不思議な感じがする。あれから川田まみは凄く上手くなったし、ポピュラーの歌手として巧みになった。そして上手くなっていく過程で微妙にキャラクターが変わってしまって振るわなくなる問題を抱える歌手を僕は何人も見てきた。

 僕は川田まみのポップスにも可能性を感じるがロックにはそれ以上に歌手として、アニソンとしての発展性があると思うし、1年前ぐらいまでのような彼女のロックを聞かないでこのまま終わりになるんだとしたらこんなに寂しいことはない。でかいヒットが出たりしたら状況は変わるんだろうか?

 

※※※                                            ※※※

 

 前回の記事は昔良く書いていた概論代わりです。歌手の話もああいうのから見に来てくれる人がとても多いのでたまには書いておこうと。とは言え、今の時点だと全然注目されていないみたいですね。テーマが雑多すぎたのか……これからも似たようなものを書くかもしれませんが、それで溢れかえるということはないと思うので、無視するなりじっくり読みこんでもらうなり、まあそっとしておいて下さい。

 

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  • J-Pop
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