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試しにアニソンを聞いてみる。

ボーカルの視点から音楽を聞いてみる。暫く休みつつ、過去の記事を地味に校正したりしてます/ページ下部でカウンター稼働中。たまに見てみて下さい/・歌手の話まとめ→goo.gl/JiZPgQ/コンテンツの使用などに関して問題があれば撤去しますのでお伝え下さい。ご連絡はhttps://twitter.com/yfyamvまで

歌手の話 May'n(Scarlet Ballet,ViViD,夜明けのロゴスなど)

  歌唱力があるとされる歌手が必ずしも上手いわけではないが、上手いとか下手の次元で言うならこの人はかなり初期の段階で歌がうまい状態からスタートした。少なくとも名義がMay'nになった瞬間から人並み以上の技術は有った。まあそもそもこの人が売れ出した切っ掛けはマクロスでシェリルの歌パートの中の人として劇中でいくつも歌を歌ったのが大当たりしたことだと思われるし、その時点での歌を僕は聞いていないんだけど…思われるというのはMay'nが売れ始める現場を見ていたわけではないので言い切れない部分があるということなんだが、事実からするとかつて中村芽依名義で出したシングルは全3枚でオリコンチャートの最高位が159位となっており、その後しばらくして名義をMay'nに変えてから、シェリル・ノーム starring May'n名義のダイアモンド クレバス/射手座☆午後九時 Don't be lateがなんと3位に入り、その後発売したMay'n名義最初のシングルはオリコンチャートで10位を獲得している。

 
 残念ながらマクロスは見てないので彼女の出自のような部分についてなんとも言い難いが、May'n名義で出ている曲だけを見てもこの歌い手にはすぐそれと分かる特徴がある。フォーマルではないが力強い声と個性的な滑舌という完全にロックから来たような歌手が激しくて速さのあるオケで歌を作る。これ以上に音楽性がわかりやすく洗練されている歌手はそういないと思うぐらいわかりやすいし、ポピュラーでは大体の場合技術のある歌手は技術自体が評価されるより技術的な猶予を使って独自の世界を作れることが受ける方が多いのだから合理的だ。まあフォーマルではないから初見では面食らうかもしれないが、それがポピュラーというものだ。
 
 
 どの曲を取り上げるかというのも軽く争いになりそうではあるが、今回はScarlet Balletと夜明けのロゴスを取り上げようと思う。
 


Scarlet Ballet(2コーラス)PV / May'n

 
 Scarlet Balletはリズム的に極めてド直球に近いロックだ。仮にオケなしで歌だけを聞いていたとしても十分リズムに乗れるだろう。Maynが個性的なアクセントを付けるからだ。
 
 May'nはアクセントが激しい歌手だし、そのアクセントが後から来るみたいな話を少し前別の記事でしたんだけど、ボーカルが歌にリズムを付ける要素として正確に音に入ることはわりとよく注目される一方で、正確に音から出る話はいい加減になる事が多い。単に説明しにくいからだと思うんだが、May'nは正確なリズムで音に入って正確なリズムで音を切る技術を持っている他に、ロングトーンの最中に声を徐々に大きくすることでリズムを意識させやすい歌を歌っている。聞き手はMay'nの声の大きさの変化から、May'nが今音符の中のどのあたりにいるのかを理解できる。
 


May'n/夜明けのロゴス MUSIC VIDEO(1chorus)

 
 夜明けのロゴスはちょっと特徴的だ。たぶん坂本真綾とかがこれを歌うとインスト的に難解で露骨に高尚な音楽になると思うんだが、May'nが極めて明快で迫力のある歌を歌うので音楽的に難しい部分が初見でもボーカルから勝手に理解できるような曲になっている。もう一つこの曲を上げたのは復帰後の最新のシングルだからだ。これが歌えるなら影響がなかったかどうかはわからないが大事ではないなと思わせる曲になっているし、むしろ以前は音が高くなるに従って少しずつ音程を力で持ち上げていたのが後からくるアクセントの成因になっていた(その歌い方が表現として悪いとは思わないが、原因としては出だしからでかく出ると高い音に届かない可能性があるので、とりあえず音を取ってから声量を増やして辻褄を合わせることで破綻を防いでいた)。
 一番わかり易いのは以前はよくロングトーンに入る瞬間僅かにタメを作っていたことだ。よく聞いて欲しいんだが上のScarlet Balletではサビのフレーズは一瞬低い音を取ってから正しい音に入っていく。具体的には
 
 信じてるもーのう↓(ここで一瞬低い音を取る)/を↑ー 
 強く引きよーせr↓(ここで一瞬低い音を取る)/る↑ー
 
 (馬鹿げた表現だが試しに声に出して読んでみればこれしかないことがわかるので騙されたと思ってやってみて欲しい)こんなふうに歌っているので、まあ気になる人はちょっと注意して聞けばすぐにわかると思う。これはたぶんわざとだが、わざとこれを出来ていることに注目すべきところがある。
 実は上のフレーズ以外でも拍の頭で低い音から高い音に入るロングトーンでは(わかりにくいとは思うが)May'nは原理的に同じ下から入って持ち上げる方法で音を支えているので、拍の頭の音程が下から持ち上がることで少し揺らいで強調されている。音符の先頭だけとりあえずやりやすい音程で入って、後からそれを高い音に修正する為に別の発音にして歌うから しんじてるもーの(う↓)を↑ー/ひきよーせ(る↓)う↑ー/まなーざーし(も↓)お↑ー/あげーるーか(る↓)ら↑ー/というふうに最終的に発音が定まってからアクセントがやってくる。(後ろ2つは流石に誇張し過ぎだし、そもそもロングトーンじゃないんだが)実は前と同じ音や前より高い音のロングトーンに行こうとする時、声にならなかったとしても一瞬この予備動作が発動する時期がMay'nには長くあった。これは歌手として全然珍しい話ではないし聞いている側からしても特におかしくはない。適当にようつべに上がっている古いLIVE音源を拾ってくればよりわかりやすいだろう。自分で探すのが面倒な人のためにこれを貼っておくけれどかなりしゃくっているのがわかると思う。これはかなり高い音でずっと動かされ続けるし、この時期のMay'nは裏に効率的に抜いていくような歌手ではなかったため、ミックス気味の位置でずっと下から持ち上げ続けている。まあこれは経過を見るために偶々古いものを持ってきたと思ってもらっていい。
 音を持ち上げるのはおかしくはないということを強調してきたが、Scarlet Balletみたいにあからさまに声になっていないだけで、声帯の動きとしては違う音程から予備動作に入って正しい音に入ろうとしている分寸前に余分な動きがあり、難曲をスムーズに歌うためには少し邪魔になる。その意味でScarlet Balletは余裕しか無いような曲だったのでああなった。母音で音を伸ばすのは歌として自然なことだが、子音にもアクセントを置くとその一瞬が歌全体を引きずり下ろしてしまいとても苦しくなる。そして、実はシャクって出る音程は普通勝手に出るようになる。
 
 上記のような子音でタメて下から声を持ち上げる癖はChase the worldやViViDのようにそれを個性として最大限活かす曲もあったけど、聞いている限りだとヤマイダレdarlin'で歌の中で殆どコントロールされるようになって今の時点まで来ている。息の長い歌手は聞いているとどこかで突然何かを解決することがあるが、May'nはRe:REMEMBERからヤマイダレdarlin'あたりですごい勢いで歌の質が変わった。狙った音にすとんと入るし、夜明けのロゴスの段階では極めてスムーズに地声と裏声を行き来している。もし今のMay'nの歌に物足りなさを感じる人がいたならこのスムーズさが原因かも知れないけれど、技術的には先頭を滑舌で取ることを自分でコントロール出来ている証だと言っていいし、当たり前だけど上手い歌手ほど放っておけば際限なく上手くなる。そして進歩の余地のない程完成された歌手なんてこの世にはいないのだ。
 
 滑舌(口の形の変化)で音程を作りに行くことについては昔の音源はどれも特に裏声が少し突っかかるのでわりとどれを聞いてもわかりやすい。特に裏声は力で出そうとすると問題が起きやすいが、Chase the worldの開幕で力でタメてから上に引っこ抜くような裏声を使っているのを聞いてから夜明けのロゴスを40秒ぐらい聞くと目からうろこだと思うので試してみて欲しい。


(ヤマイダレdarlin'はMay'nの状態を見るに収録自体は病休前にされたものの可能性が高いし、病気が治って全体が良くなったというより単に喉をかばい続けて結果的に自然な方に行っただけかもしれない。まあなんだって憶測にすぎないんだが)…※続報が有ったので、記事の最下部にインタビュー記事の外部リンクと公式ブログの記事を貼りました。


 


Chase the world -TV size edition- Music Video / May'n

 

 

※※※                                            ※※※
 


 去年は声帯ポリープで一部で勝手に引退すら噂されたような覚えがある(記憶の捏造だったら申し訳ない)が、その後もCDでは特に問題なく歌っているように聞こえるし、聞いている限りは以前より明らかに高音に入るのも出るのも楽になった。結局病気がどういう顛末で解決したのかは定点観測しているファンでも関係者でもない僕にわかるはずもないので、地声を高いところまで引っ張れる程調子が良くないので裏に行かざるを得ないという部分ももしかしたらあるのかもしれないし、実際技術のある歌手ならギリギリまで地声で引っ張らない方がスムーズに喚声点を行き来できるのでその理屈でもある程度説明がつく。ただなんであれ、結果的には今歌の中で狙った音にダイレクトに入って非常に難しい歌を歌っているんだから結果オーライとしか言いようがないし、勝手な話だが今の歌の方が歌として自然だし僕は好きだ。まあ時間が経てば歌手は殆どの人が気が付かないようなレベルで少しずつ上手くなるのは当たり前だし、それはその進歩を見つけた人の手柄なんて1ミリもなく全てが歌手自身の手柄だ。まあそもそも、これを読んでいる人には違いなんてどこにもないじゃないかと思われているかもしれないが……
 
 本人は安室奈美恵にあこがれて歌手になることを志したらしいが、今ではMay'nにあこがれてアニソン歌手になりたいと思ったり実際なったりする若い女性歌手もいる。本人に優れた技術があるだけでなく、技術を持った女性歌い手が自分の力を最大限活かすためにJPOPよりアニソン歌手を志すような傾向を一部で産んだ歌手の一人だと思うし、僕のような技術厨としてはこれからも第一線で活躍してくれることを願うばかりだ。
 

 

 

・※日刊スポーツの記事を見つけたので、リンクを勝手に貼ってみます。

May’n「全く違和感もなく大丈夫」/一問一答 - 音楽 : 日刊スポーツ

夜明けのロゴス|May'nオフィシャルブログ「きょうのMay'nディッシュ」Powered by Ameba

 中段にレコーディング時に菅野よう子さんに手術を勧められたということが書いてあります。

 

 他の記事。

歌い手の話 カテゴリーの記事一覧 - 試しにアニソンを聞いてみる。

歌手の話 坂本真綾(buddy、幸せについて私が知っている5つの方法、トライアングラーなど) - 試しにアニソンを聞いてみる。

 

 

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Chase the world

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・ViViD

主に音の高低差から乱れているところがかなりあるが、譜面上のメロディーも実際の歌われ方もちょっとはっちゃけたようなところがあって素晴らしく上手い音源になっている。ポップスの魅力が最大限詰まった音源。

ViViD

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・夜明けのロゴス

ヤマイダレdarlin'に続き菅野よう子が作った少し不思議な曲を歌い手の力で持ち上げててボーカル曲として自立させたような出来になっている。特殊パートが特に歌い手にとって厳しいものがあるが、全体的に綺麗にまとまっている。

夜明けのロゴス

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